
- ステーブルコインが現実資産のトークン化を主導しており、ステーブルコイン以外の資産は市場全体の小さな割合を占めるに過ぎず、大きな成長余地があると、スタンダードチャータード(Standard Chartered)は報告書で指摘した。
- スタンダードチャータードは、規制の進展は前向きな兆候だが、依然として一貫性のないKYC要件が課題となっていると指摘した。
- 今後の成長は、プライベートエクイティやコモディティなど流動性の低い資産をターゲットにすることが鍵となり、このような分野ではトークン化が真の効率性や流動性のメリットをもたらすとの見解を、スタンダードチャータードは示した。
ステーブルコインは現実資産(RWA)のトークン化を主導しているが、より広範な変化の兆候が見られると、スタンダードチャータードは指摘している。
現在、非ステーブルコインのRWAの規模は230億ドル(約3兆3400億円、1ドル=145円換算)で、ステーブルコイン市場の約10%に相当するが、規制の明確化が進み、オンチェーン化によってより有意義な恩恵を受ける資産への注目が高まるにつれ、大幅な成長が見込まれると、スタンダードチャータードは6月18日に発表した研究報告書で指摘した。
トークン化はブロックチェーン技術の主要な用途のひとつであり、伝統的金融(TradFi)業界から注目と投資を集めている。
ステーブルコインは、米ドルや金などの他の資産の価値に連動した暗号資産(仮想通貨)であり、暗号資産市場において重要な役割を果たすとともに、国際送金にも利用されている。
シンガポール、スイス、EU、ジャージー島などの管轄区域では規制面で進展が見られたとスタンダードチャータードは指摘したが、本人確認(KYC)規則の一貫性の欠如が依然として障害となっている。
それでも、トークン化が真の価値をもたらす資産をターゲットにすることが機会を提供すると、報告書は述べた。
「成長の可能性を解き放つためには、トークン化の取り組みは、オフチェーンの同等資産よりも安価で/または流動性が高く、決済時間が短い、またはオンチェーンのニーズを解決するオンチェーン資産に焦点を当てる必要がある」と、スタンダードチャータードのデジタル資産リサーチ責任者であるジェフ・ケンドリック(Geoff Kendrick)氏は主張した。
スタンダードチャータードは、トークン化されたプライベートクレジットが、より迅速な決済とコスト効率を提供することで将来性を示していると指摘した。
一方、金や米国株式のような既に流動性の高い資産のトークン化の取り組みは、オンチェーンでの明確なメリットを提供できないため、進展が限られたものに留まっていると、スタンダードチャータードは説明した。
スタンダードチャータードは、プライベートエクイティと流動性の低いオフチェーンコモディティが、ステーブルコイン以外のトークン化の次なる成長領域になると予想している。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:Standard Chartered Sees New Growth Frontiers in Non-Stablecoin Tokenization