
- ビットコインは10万7000ドル以上で安定しているが、暗号資産市場全体では利益確定の動きが見られる。
- DOGE、TRX、XRP、BNB、SOL、ADA は下落しており、ETHは最近の急騰の後、落ち着きを見せ始めている。
- 米中貿易交渉やインフレ率の鈍化など、マクロ経済の好材料が株式市場と暗号資産市場の両方で投資家のセンチメントを後押ししている。
ビットコイン(BTC)は6月12日、10万7000ドルを上回って堅調に推移したが、主要暗号資産(仮想通貨)が利益確定の兆候を示し始めたことで、暗号資産市場全体に疲労の兆候が表れ始めている。
ドージコイン(DOGE)は19セントでほぼ4%下落し、トロン(TRX)は5.5%下落して27セントとなった。エックス・アール・ピー(XRP)、バイナンスコイン(BNB)、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)も最大3%の下落を示した。
先週、ETF(上場投資信託)への資金流入急増と強気なデリバティブ取引を背景にビットコインを上回るパフォーマンスを示したイーサリアム(ETH)も、一時2800ドルを突破したが、その後に冷却の兆候を示した。全体的なセンチメントは依然として前向きだが、複数のトークンが局所的な抵抗水準付近で推移しており、慎重なトレーダーが利益確定を急ぐ動きが見られる。
トレーダーたちは、広範な背景は依然として建設的だと指摘している。暗号資産市場全体でモメンタムが静かに高まっており、根本的な構造変化が賢明な投資家の注目を引いている。
IPO市場が過熱する中、マクロ経済情勢が注目される
「暗号資産に対するメインストリームのセンチメントは、特にサークル(Circle)のIPO(新規株式公開)成功を背景に、明らかに好転している。ジェミナイ(Gemini)とブルッシュ(Bullsh)も最近、アメリカ証券取引委員会(SEC)に上場申請を提出した」と、シグナルプラス(SignalPlus)のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏はテレグラムのメッセージで述べた。
「BTCの財務戦略も流行しており、ストラテジー(Strategy)の戦略を模倣する企業が続々と現れているほか、伝統的な金融(TradFi)とオンチェーン(例えば、プラズマのような)の両方でステーブルコインの盛り上がりが続いている」と彼は付け加えた。
マクロ経済動向も影響している可能性がある。米中貿易協議の進展とインフレ率の鈍化は、リスク資産にとってより前向きな見通しを創出しており、株式市場と暗号資産市場の両方でセンチメントを後押ししていると指摘する声もある。
「米中合意の進展と消費者物価指数(CPI)の軟化は、世界市場にとって前向きな兆候であり、インフレ圧力を緩和し、より安定した経済見通しを築いている」と、ハッシュキー・グループ(HashKey Group)のチーフアナリスト、ジェフリー・ディン(Jeffrey Ding)氏はテレグラムのメッセージで述べた。
「マクロ経済要因が良い方向に向かう中、機関投資家が業界への統合をさらに進めることで、暗号資産は引き続き成長すると楽観視している」とディン氏は付け加えた。
クラーケン(Kraken)のエコノミスト、トーマス・ペルフモ(Thomas Perfumo)氏も同様の機関投資家の視点に言及した。
「暗号資産市場の広範な上昇は、実質金利の変動拡大と財政赤字への懸念が高まる中、マクロ経済のヘッジ手段としての役割が進化していることを反映している」と、ペルフモ氏はCoinDeskへのメールで述べた。
「我々は好循環を目撃している。現物ETFのような構造的な買い需要を喚起する商品の採用、特にアメリカの規制環境がより好ましい状況下での採用が、予想を大幅に上回るペースで供給を吸収している」と彼は付け加えた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin, Dogecoin, Ether Could See Profit-Taking Even as Macro Conditions Improve