米CPIの鈍化を受けて、ビットコイン年内20万ドルが現実味:アナリストが指摘
  • 21シェアーズのストラテジストによると、消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったため、ビットコインの急激な上昇を後押しして、年末までに20万ドルに達する可能性があるという。
  • CPIは5月にエコノミスト予想を下回る0.1%の上昇だった。これにより、FRBが緩和政策に動く可能性が高まっている。
  • ビットコイン価格は記事執筆時点で10万8000ドル付近で、トレーダーたちはFRBが今年中に複数回の利下げを実施すると予想している。

6月11日に発表されたアメリカの消費者物価指数(CPI)の上昇率が予想を下回ったことで、ビットコイン(BTC)の価格上昇が加速する可能性が高まり、年末までに20万ドルに達するとの見方が浮上していると、21シェアーズ(21Shares)の暗号資産(仮想通貨)リサーチ・ストラテジストのマット・メナ(Matt Mena)氏は指摘している

「BTCが10万5000ドルから11万ドルのレンジを確固たる勢いで突破すれば、12万ドルへの急騰が見込まれる。より重要なのは、夏までに年末の価格目標だった13万8500ドルに達する可能性だ」とメナ氏はCoinDeskへのメールで述べた。

「今回のCPIの発表は、ビットコインにとって強気な触媒となる可能性があり、この目標を数カ月前倒しするきっかけとなるかもしれない。モメンタムが継続すれば、年末までに20万ドルというのは現実的な目標となる」とメナ氏は付け加えた。

21シェアーズは、世界初の暗号資産上場投資商品(ETP)発行会社の一つであり、最大手の一つだ。

11日に発表されたアメリカ労働省の報告によると、CPIで測定される生活費は、4 月に0.2%上昇した後、先月は0.1%上昇した。ロイターが調査したエコノミストは、0.2%の上昇を予測していた。

特に、その大部分が輸入品または輸入部品を使用して製造されている耐久消費財のCPIは、季節調整済みで前月比0.1%減(年率1.3%減)となり、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の関税措置がまだ最終消費者に完全には転嫁されていないことを示している。

年率換算のCPIは2.4%の上昇で、コアインフレ率は4月と同じ2.8%だった。

「インフレの抑制傾向が続いていることは、今年後半に金融緩和が行われる可能性を強めている。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の6月の会合が近づいているため、政策担当者がインフレとマクロ経済の先行き不透明感の変化にいつ対応するか、注目が集まっている」とメナ氏はメールで述べている。

CPI報告を受けて、トレーダーたちは、今週初めには42ベーシスポイントだったFRBの今年度の金融緩和幅を47ベーシスポイント、つまり、およそ25ベーシスポイントの利下げ2回に上方修正した。さらに、トレーダーたちは10月の利下げを完全に織り込み、9月の利下げ確率は70%以上と見ている。

メナ氏は、CPIの追い風は、国家や機関投資家の採用、ステーブルコインの規制など、複数の好材料に続くものだと説明した。

「マクロ経済の見通しが改善するにつれ、ビットコインへの資金流入が加速するはずだ。これは、機関投資家の信頼回復、ビットコイン保有企業の活動増加、州レベルでの戦略的ビットコイン準備金プログラムの継続的な導入が要因だ。これらの動向はETF(上場投資信託)の資金流入を加速させ、ビットコインのグローバルポートフォリオにおける役割の進化を強化する可能性がある。ビットコインはこのような環境のために設計されているからだ」とメナ氏は指摘した。

CoinDeskのデータによると、記事執筆時点でのBTCの取引価格は10万7700ドル付近だった。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin at $200K by Year-End is Now Firmly in Play, Analyst Says After Muted U.S. Inflation Data