- ビットコインは再び、11ドル台を回復し、史上最高値をわずかに下回る水準で推移している。一方、ユニスワップやアーベなどのアルトコインは、米証券取引委員会（SEC）委員長からのDeFiに関するポジティブなコメントを受けて急騰している。
- 値上がりにもかかわらず、暗号資産（仮想通貨）市場のシグナルは依然として慎重な姿勢を維持している。マイナスの資金調達率は、将来の急騰の可能性を示唆している。
- 専門家は持続可能なブレイクアウトに懐疑的であり、ボラティリティと急落の可能性を指摘している。
ビットコイン（BTC）は2日連続で11万ドルのレベルを回復した。これは、アルトコインのさらに大きな上昇に牽引された可能性もある。
過去24時間で1%以上上昇したビットコインは、6月10日の米国株式市場終了直後、11万ドルをわずかに上回る水準で取引されていた。
ステーブルコイン、取引所コイン、ミームコインを除く時価総額上位20の暗号資産を指数化したCoinDesk 20 Indexは同じ期間に3.3%上昇した。これは主に、イーサリアム（ETH）、ソラナ（SOL）、チェーンリンク（LINK）がそれぞれ5%～7%上昇したことが要因である。
しかし、さらに際立ったパフォーマンスを見せたのは、ユニスワップ（UNI）とアーベ（AAVE）で、それぞれ驚異的な24%と13%の急騰を記録した。この動きは、米証券取引委員会（SEC）のポール・アトキンス委員長が9日、DeFiに関して楽観的なコメントを発表したことがきっかけとなった。
株式市場は比較的平静を保っており、ほとんどの暗号資産関連銘柄は横ばいで推移した。
例外的なのは、ストラテジー（Strategy）社の戦略を模倣し、可能な限り多くのビットコインを蓄積することを目指すセムラー・サイエンティフィック（Semler Scientific）だ。同社の株価は10日、さらに10%下落し、現在、バランスシート上のビットコインの価値を下回る水準で取引されている。
10日の上昇にもかかわらず、暗号資産市場のポジションは依然としておおむね、防御的な姿勢を反映している。
「資金調達率やその他のレバレッジ指標は、市場における慎重なセンチメントが継続していることを示している」と、K33リサーチ（K33 Research）のリサーチ責任者であるヴェトレ・ルンデ（Vetle Lunde）氏は10日付の報告書で指摘し、次のように続けた。
「ビットコインが過去最高値に近い水準で取引されているにもかかわらず、広範なリスク許容度は驚くほど弱い状態である」。
バイナンス（Binance）のビットコイン無期限先物は先週、複数日にわたりマイナスの資金調達率を記録し、現在の年率換算平均資金調達率はわずか1.3％となっている。これは通常、局地的な底値ではなくピークと結び付けられる水準だと、ルンデ氏は指摘した。
「ビットコインは通常、マイナス資金調達率の環境でピークを付けない」とルンデ氏は述べ、過去このような状況は調整よりも上昇局面に先行するケースが多かったと付け加えた。
レバレッジ型ビットコインETF（上場投資信託）への資金流入も同様の状況を示唆している。プロシェアーズ2xビットコインETF（BITX）は現在、5万2435BTC相当のポジションを保有しており、2023年12月のピーク7万6755BTCを大幅に下回っている。そして資金流入は、依然として鈍化したままだ。ルンデ氏によると、この防御的なポジションは、ビットコインの「健全な上昇」が発展する余地を残している。
それでも、すべての市場観測者が、現在の価格動向が持続可能なブレイクアウトの始まりを意味するとは確信していない。
「これは継続する真のブレイクアウトなのか？私の見解では、おそらくそうではない」と、コインパネル（CoinPanel）の自動化専門家であるキリル・クレトフ（Kirill Kretov）氏は述べ、次のように続けた。
「むしろ、現在の上昇局面が、ネガティブな発表や他のストーリーの変化によって引き起こされる急落に続く同じボラティリティサイクルの一部である可能性が高い」。
クレトフ氏によると、現在の市場環境は、ボラティリティ主導型の市場構造を切り抜けられる経験豊富なトレーダーに有利だ。クレトフ氏は、ビットコインの次の主要なサポートレベルを10万5000ドルと10万ドルと見ており、売り圧力が再燃した場合、これらのゾーンが試される可能性がある。
｜翻訳・編集：山口晶子
｜画像：6月10日のビットコインの値動き（CoinDesk）
｜原文：Bitcoin Rises to $110K as Altcoins Rally; Traders Skeptical of Breakout
