Ripple社、スタートアップ支援でWeb3 Salonと提携──DeFiやRWAなど国内事業者が対象、最大約3000万円助成へ

米国に拠点を置くフィンテック企業のRipple(リップル)社は6月9日、アジアでのブロックチェーン技術の革新を加速させる一環として、Web3スタートアップの支援に取り組むプログラム「Web3 Salon」との提携を発表した。

同プログラムは、アジアと日本におけるWeb3エコシステムの発展を目指す一般社団法人Asia Web3 Alliance Japan(AWAJ)が、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の支援の下で運営している。

今回の提携により、Ripple社はXRP Ledger(XRPL)上で開発を行う日本国内のスタートアップ企業に対し、1プロジェクトあたり最大20万ドル(約3000万円、1ドル145円換算)を助成する。XRP Ledgerは、暗号資産(仮想通貨)エックス・アール・ピー(XRP)をネイティブ通貨とし、金融取引などを処理・記録するオープンソースのブロックチェーンネットワークだ。

DeFi、RWAなどのスタートアップが対象

この取り組みは、同社が新たに立ち上げた日韓ファンド「XRPL Japan and Korea Fund(XRPL日本・韓国基金)」の一環で、同社が掲げる10億XRP規模の支援プログラムに基づいて実施されるという。助成金は今後1年間にわたり提供され、XRPL上で構築されるプロジェクトの中でも、DeFi(分散型金融)やRWA(現実資産のトークン化)といった分野に取り組むスタートアップが対象になる。

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選定にあたっては、ビジネスの将来性や技術的優位性などが評価基準となり、採択された企業は、同社のグローバルパートナーや専門家、顧客とのネットワークにもアクセスできるようになるという。

応募資格や詳細は、同社が運営する資金提供プログラム「XRPL Grants」の公式サイトから確認できる。

2026年3月までに4回のイベント開催

リリースによると、同社とWeb3 Salonは、認知度向上などを目的に2026年3月までに計4回の大規模コミュニティイベントを共同開催する予定だ。注目のスタートアップ紹介に加え、政策動向の把握や起業家、規制当局、企業リーダーの交流の場を提供するとしている。

イベントの概要は以下の通り。

  • 日本を代表するブロックチェーン人材が集結するするスタートアップピッチコンテスト
  • 国内外の業界リーダーによるパネルディスカッションや対話形式のトークセッション
  • 投資家とのネットワーキングセッションおよびエコシステム紹介
  • トークン化、コンプライアンス、国際展開などをテーマにした教育プログラム

同社の開発者支援部門であるRippleXのデベロッパーグロース担当シニアディレクター、クリスティーナ・チャン(Christina Chan)氏は、「日本の活気あるスタートアップ・エコシステムに新たな可能性をもたらすことを誇りに思います。今回の提携は、単なる勢いを示すものではなく、国際的な連携と制度基盤の整備を視野に入れた、実質的かつ本格的な取り組みであることを示しています」などとコメントしている。

|文:橋本祐樹
|画像:リリースより