主要暗号資産の中で上昇しているのはETHのみ──市場は「ゴルディロックス・ゾーン」に
  • ビットコインへの流入が鈍化したにもかかわらず、機関投資家の関心が依然として高かったため、イーサリアムは2700ドルを突破した。
  • XRPは、ビボパワーがXRPベースの財務準備金に1億2100万ドルを投資したことを受けて、価格は安定を維持した。
  • ビットコインは市場全体の下落を受け、10万8000ドルを下回ったが、他の主要トークンはほとんど変動がなかった。

5月29日早朝、イーサリアム(ETH)は小幅な上昇で主要暗号資産(仮想通貨)を牽引し、2700ドルを突破した。マクロ経済や企業関連のニュースが相次いだにもかかわらず、暗号資産市場は全体的にはレンジ内で推移していた。

トレーダーによると、イーサリアムをベースとした現物ETF(上場投資信託)は純流入を記録し、ビットコイン(BTC)への流入が鈍化する中でも、機関投資家はイーサリアムへの需要を維持した。

ナスダック上場のビボパワー(VivoPower)が、エックス・アール・ピー(XRP)をベースとした財務準備金の構築に1億2100万ドル(約175億4500万円、1ドル=145円換算)を割り当てると発表した後も、XRPの価格はほぼ横ばいだった。これは、ストラテジー(Strategy)とメタプラネットが有名にしたビットコインベースの戦略を彷彿とさせるものだ。

LVRGリサーチ(LVRG Research)のディレクター、ニック・ラック(Nick Luck)氏はCoinDeskへのrテレグラムのメッセージで、「連邦裁判所がトランプ大統領の関税を阻止したことで米国株は上昇したが、連邦準備制度理事会(FRB)が金利据え置きを決定したことでビットコインは下落した」と述べた。

「これらのシグナルは、投資家が長期的には楽観的であるものの、短期的にはビットコインからリスクを回避していることを示している可能性がある」とラック氏は付け加えた。

一方、ビットコインは10万8000ドルの水準を割り、時価総額は全体で2.5%減少した。主要トークンのカルダノ(ADA)、バイナンスコイン(BNB)、ドージコイン(DOGE)、ソラナ(SOL)は、過去24時間でほとんど変動がなかった。

トップ10以外では、トンコイン(TON)は前日にイーロン・マスク(Elon Musk)氏のxAIとの提携によりGrok AIサービスを自社アプリに統合するという報道を受けて20%以上急騰した後、アジア時間早朝に下落した。

マスク氏はその後、Xで「合意に至っていない」と述べ、トンコインのパベル・デュロフ(Pavel Durov)氏は、原則合意しているものの手続きが保留中だと述べた。

トレーダーは「ゴルディロックス・ゾーンに突入」

そのため、一部のトレーダーは、市場が「ゴルディロックス・ゾーン」と呼ばれる状態に突入したと指摘している。このゾーンでは、データが安定し、主要なリスクが吸収され、新たな触媒となる要因を待ち構えている状態だ。

「ほとんどの資産クラスにおけるボラティリティが急落している」と、QCPキャピタル(QCP Capital)は27日のリポートで指摘し、アメリカと日本の長期国債の利回りが低下していることを挙げた。

「我々は現在、ゴルディロックス・ゾーンに置かれている。先月導入された関税政策は、最近のデータにほとんど影響を与えていない」と述べた。「企業と消費者が価格設定や支出パターンを調整するには時間がかかる。これらの動向が数値に反映されるのは、おそらく第3四半期になるだろう」。

10年物と30年物の米国債利回りはそれぞれ4.5%と5%を下回り、日本の30年物国債利回りは3%を割り込んだと同社は指摘した。歴史的な債務水準にもかかわらず、短期的な財政危機の懸念は和らいでいるようだ。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Ether Only Crypto Major in Green, XRP Muted After Mammoth Treasury Plans