ビットコイン財務戦略企業の新しい評価基準は「mNAV達成日数」
  • メタプラネットとブロックチェーン・グループはBTC運用競争で先行しており、高い利回り(1日あたり約1.5%)を短いmNAV(市場純資産価値)達成期間(Days to Cover)に転換し、積極的な市場プレミアム取引を正当化している。
  • 一方で、ストラテジーはその圧倒的な存在感にもかかわらず、BTC利回りが0.12%と低く、mNAVを達成するまでに626日を要する見通しとなっており、ビットコイン蓄積効率の鈍化を示唆している。

ビットコイン(BTC)が機関投資家向け資産として成熟を続ける中、上場企業の財務戦略にBTCを組み込む動きが拡大し、いわゆる「レバレッジド・ビットコイン・エクイティ(LBEs)」への投資家の関心が再燃している。しかし、それらの企業評価が急騰する中で根本的な疑問が残る。BTCの継続的な蓄積で本当にプレミアムを獲得しているのか、それとも単に評判を上げているだけなのか。

この問いに答える新たな指標として「Days to Cover mNAV(mNAV達成日数)」が注目を集めている。この指標は、企業が現在のBTC蓄積ペースを維持した場合、時価総額を正当化するのに必要なBTC数を獲得するまでに要する日数を、mNAV(市場純資産価値)とBTC利回りに基づいて算出するものだ。

この式、「Days to Cover=ln(1+BTC利回り)ln(mNAV)」は、複利効果を考慮し、企業の評価を将来成長率を加味した視点で分析している。

Microstrategistの記事によると、最新のデータは興味深い状況を示している。機関投資家向けのリーダーであるストラテジー(Strategy)はmNAV倍率(時価総額を保有資産価値で割ったもの)が2.1だが、日次のBTC利回りがわずか0.12%と低く、評価額をカバーするのに626日という遅いペースとなっている。

一方、新興企業のメタプラネットとブロックチェーン・グループ(Blockchain Group)は、100日の平均日次BTC利回りが1.5%近辺で急速に複利効果を積み重ねており、それぞれ5.08と9.4のmNAV倍率であることからmNAVを110日と152日で達成できる。さらに、mNAV倍率が1.5、利回りが0.33%のセムラー・サイエンティフィック(Semler Scientific)は、114日という競争力のあるmNAV達成日数となっている。

これらの数値は、2024年10月から2025年5月までの「Days to Cover mNAV」チャートによって裏付けられており、明確な傾向を示している。蓄積が早い企業はカバー期間を短縮し、既存の主要企業に追いついている。特にメタプラネットとブロックチェーン・グループは、BTCの複利運用を企業価値向上に結び付ける能力を実証したことで、投資家の熱狂的な支持を獲得している。

[mNAV達成所要日数。:MicroStrategist.com/ @BitcoinPower Law]

スピードとボラティリティが特徴のこの分野において、mNAV達成所要日数は、長期的な持続可能性と上昇の可能性を評価するための、明確かつデータに基づく視点を提供するものだ。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:‘Days to Cover mNAV’: The New Standard for Evaluating Bitcoin Equities